大手システムインテグレーターA社(仮名)で広告戦略策定の支援をさせてもらった時の話です。

海外製のパッケージソフトがあり、A社は日本で独占販売することを決めました。

営業とマーケで利害対立

営業サイドは、当然ながらスピードを要求します。有力な競合が入ってくる前に、国内市場に展開していきたい。

一方、私の直接のクライアントであるマーケ部門は慎重です。拙速でいいかげんなものを作っても、費用対効果が出ない。方針をきちっと固めたほうが結局は早くて効果もあるという主張です。

G9Mでいう軸作りの部分を、2時間×2回にして欲しいという話でお伺いしました。1回目はSWOT分析です。その最初の30分近くの貴重な時間が、この不毛な「綱引き」で費やされてしまいました。

関係部門間では何となく利害関係が対立するもの

関係部門間では何となく利害が対立するもの

どちらも「正論」です。利害が対立しているだけです。正論と正論がぶつかり合うときは、私は無用な口出しをしないようにしています。

特に初対面の相手がいて、こちらを値踏みしている間は信頼関係が出来ていないわけですから、変なことを言うと今度は私に矛先が向き始め、不毛な議論がさらに続くことになります。

お互いようやく言うことがなくなったのを見計らって私は口をはさみました。「どちらも一理あるので、必ず落とし所があると思います。おそらく今日のワークショップが終われば見つかっているはずです」

営業サイドの責任者は、まだ多少何か言いたそうでしたが、その言葉に一応耳を傾けてくださり、その後の私の質問に丁寧に答えてくださいました。

状況の共有がもたらすもの

SWOT分析とは、「強み・弱み」の内部要因と、「機会・脅威」の外部要因を組み合わせて、今後の方針を検討するものです。

経営戦略を立案するときの手始めの手法として使われることが多いようですが、私はこれを状況共有のツールとして使っています。

広告戦略や営業戦略を立案支援を長年しておりますが、このような会議には社内の関係部署が複数参加します。

多くの場合、営業・マーケと開発は対立しがちですし、また営業とマーケも一枚岩ではありません。その上、経営陣と現場部門とでも温度差があります。

状況を共有して、一つの方向を向かないとまとまりません。そのために重宝しているツールがSWOT分析なのです。

2時間後には同じ方向を

2時間後には同じ方向を

案の定、A社でもSWOT分析が終了した時には、営業とマーケの双方から折衷案が出てきて、まとまりました。そして、2回めのワークショップは和気藹々とした雰囲気で進みました。

SWOT分析にもコツがあります。最初は、私のようなプロのファシリテーターの支援を要請するのが無難です。一度様子を見れば、以後は貴社内でできるのではないかと思います。